遠回りこそが一番の近道

「遠回りすることが一番の近道」イチロー

昨夜読んでいた本のなかにこの言葉があり、私自身も覚えのあることだったのではっとしました。

この言葉は、イチロー選手が元日本ハムの稲葉さんとの対談の中で語られた言葉です。

「急がば回れ」、「学問に王道なし」・・・

言葉は違いますが、先人たちは、私たちに陥りがちな「安直な近道」を窘めています。

昔、中川いさみさんの漫画『くまのプー太郎』の中で、こういう4コママンガがありました。

「人間国宝養成講座」
「効果的な学習で、あなたも、たった3ヶ月で『人間国宝』に!!」
「ベテラン講師陣が教えます!!!」

というナンセンス漫画でした。

「たった〇ヶ月で〇〇の資格が取れます!」

といった「資格商法」の広告も目にしない日はない、ぐらいよく目にします。

3ヶ月と言えば、弘法大師が唐に渡り、青龍寺にて恵果和尚から密教のすべてを授かった期間もわずか3ヶ月といわれます。しかし弘法大師が大学を離れ山林修行に入ったのが19歳、出家の正式な宣言書といわれる『聾瞽指帰』を記したのが24歳。遣唐使として中国に渡る31歳までは消息が不明で、32歳の時に恵果和尚より密教を授かっています。弘法大師は長安青龍寺の3ヶ月だけではなく、

偉大なる遠回り

をして足掛け10年かけて密教を体得したと考える方が自然でしょう。

結局「短期間で効率よく身に付く」というようなものは結局は身に付かないのではないか、と私は思っています。
私自身も仏道に限らず、様々な遠回りをしましたし、「あー、無駄なことをしてしまった、あー、無駄な時間を費やした」と思うことこれまでにはありました。しかし今となっては、遠回りをした事は決して無駄ではなかったと思うようになりました。遠回りをしたがために得たものの方が多かったと思います。遠回りへと導いてくださった、そういうご縁を作ってくださった、恩人であったり、環境であったり、仏さまであったり、神様であったり、すべてに

「この得がたきものを得る」

ことを可能にしてくださったことを感謝したいと思います。

目標に向かって払う努力に、無駄な時間や無駄な苦労なんてあるでしょうか。

冒頭にイチロー選手の言葉を引用しましたが、私自身もやはり思います。


遠回りこそが究極の近道である

と。

また、目標に向かって進む人々に伝えたい。

あぶないぞ、近づくな!それは近道だ!